日常の小さな前進を描いた作品だった。文章が読みやすいのも特徴でした。
ひとつのドキュメンタリーを見せられた気分になった。この物語と同じように悩んでいる人を見つけたり、同じ境遇になった時に、この作品を読んでいて精神的に救われるかもしれない。辛い目にあった時には「同じような目に合っている人は他にも居るんだ」と思えば痛みも安らぐと思う。
作者はどういうテーマを入れていたのか
働く女性と専業主婦をそれぞれ主人公として描くことで、環境の違いからくる心情の違いを対比しやすくしていた。ふたりの主人公を魅力的に描いているので、ふたりが解釈のすれ違いで仲たがいをしていく様子がヒヤヒヤしました。本を読む側としては、何行か前には相手の心情が書かれているのに、舞台の2人は片方の世界しか知らないんだなと......
働く女性としての葵、専業主婦の小夜子、立場が違っても理解して絆を作ることも可能なんだよと伝えているようでした。こういう物語が知られることで、多少なりとも、働いてる女性と専業主婦の女性の間で協力関係が出来たら良いのになっていう新しい関係性の提案がしやすくなりそうです。
その中でも、物語では主体的に行動することが大切だと伝えているようでした。自分が前から疑問に思っていたこと、みんなの前では発言したことが無かったけど本当は思っている事、そういうことを自分なりに行動に移して、失敗をするかもしれないけど、それでも前よりは良くなっていく。そういう目線を教えられた気がしました。
男性側としては
男性目線では、嫁姑関係が面倒くさいことを事前に知っておけば良かったり、育児と家事に関わる姿勢があればいいのになという目線があった。
子育てのしやすい環境について
-
夫よりも、妻の両親に近い家に住む
女性が義母に子育てを手伝ってもらうのは、心理的に負荷がかかることが多いそうだ。妻の両親であれば、手伝ってもらいやすい傾向がある。子育てをしやすい環境で育てる方が負担が少ない。
-
子どもが小さいうちは、そこそこ田舎でも良い
保育園や幼稚園に、待機児童として待たされるリスクは無い方が良い。また教育の面でも高校生までは大人数型でなくても良い。
-
大学生になる頃には、大人数の人と関わりを持てるところが良い
多くの価値観を吸収した方が良い。26歳までには社会で色んな人と関わってる状態が望ましいかな。