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みんなの料理には砂糖をどのくらい入れる?

 前回に続いて、本書で面白かった内容を自分なりの例に置き換えて説明してみる。

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

 

 

 

真ん中を選ぶのが良いよね

手作りケーキをみんなで一緒に食べる。ケーキに砂糖をどのくらい入れるかを8人で議論している。

  • 砂糖をたくさん入れたい、3人
  • 砂糖をそれなりに入れたい、2人
  • 砂糖を極力入れたくない、3人

砂糖をたくさん入れると、極力入れたくない人が嫌だし。入れないと、たくさん入れたい人が嫌になる。そこで、真ん中の「砂糖をそれなりに入れる」に落ち着くのが妥当だよね。

 

こういう選択方法を、中位投票者定理と言う。これが多数決に変わる良い選択方法になる。

この選択方法には、投票する対象に、ある性質がなくてはならない。

 

単峰性という性質

「砂糖をたくさん入れたい」人からすると、「砂糖をそれなりに入れる」は2番目、「砂糖を入れない」のは3番目の候補になる。このように、ひとつの選択肢が決まっていれば2番目や3番目の候補が自動的に決まる。「砂糖を入れない」人からしたら逆に、砂糖をなるべく入れないように順位付けをする。このような性質を単峰性と言う。

この単峰性を満たすときは、この選択方法を使うのが優秀なのだ。

そして、これからの説明が面白い。

 

単峰性があるかどうかは、話し合いによって新しく発見される事がある

イデアで乗り切ろうとする姿勢が好きだ!

ある選択肢を提示されている。議論をしていない時は、選択肢同士の関係性は曖昧なままだ。しかし、議論をすることで選択肢のメリットやデメリットが浮き彫りになり。選択肢同士に一貫した関係性を見出す事が出来れば、単峰性を持つことが出来る。

どこに行くかではなく、何を食べるか

例えば、ご飯をどこで食べに行くか話し合いをする。候補として、「惣菜屋さん、ファミリーレストランうどん屋」が出て来たとしよう。

 

選択者はいきなりお店を多数決で決めることも出来るし。

更に、「何を食べたいか」を話し合って別の基準を用いて決めることができる。すべての選択者が食べたいか、もしくは食べてもいいと妥協できるメニューがあるお店を選ぶ事で全員が嫌な選択肢を避ける事が出来る場合も存在する。こうして「うどんを食べたくない人がいるから、別のお店を選ぼうか。」という選択も出来るようになる。

選択肢の関係性を話し合おう

話し合いによって、選択肢の中に関係性を見出すことで最良の選択方法が増えるのは面白い。

他者のだいたいの嗜好が分かれば、この単峰性を活用して相手の考えを推理するのに役立つだろうし。交渉したり。妥協点を見つける際にはいい方法になる。

人間関係のやりくりが上手な人は、当たり前のように使ってるテクニックかもしれないね。

 

多数決するより、各自で得点を割り振る方が総合意見として優秀じゃない?

 

追加して言うと、ポイントを付けるときに制限を付けると1票の重さが平均化されて尚良い。

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

 

 

この本は、経済学の教授が「多数決ってよく使われてるけど、別に1番優秀な選び方ではないよね」というのを反例を元に説明をしている。

読む前は、題名から推測して社会学要素が強い意見文かと思った。よくよく読んでみると数学的な考え方が元になっていて意外性が面白かった。

 

多数決は投票者の意見は本当に含まれているのだろうか?

選択肢が5つの例だと、上から順番に「1位には5点、2位には4点……」と、それぞれの選択者に得点を割り振ってもらう。その結果を集めて総合得点が高かったモノが1位に輝くという投票方法だ。この投票方法はボルダルールと呼ばれている。

このボルダルールが優れているのは、「票の割れ」に強いことが挙げられる。問題は似たような候補が複数出てきた時に起こる。多数決での例を挙げてみる。

カレーとシチュー

例えば、好きな食べ物を選ぶときに「カレーとシチュー」から選ぶとしよう。そのときの票結果が「カレーが6票、シチューが5票」で終わった。

これでカレーが1番好まれる食べ物だと分かった。

牛肉カレーとシーフードカレーとシチュー

今度は、選択肢のカレーを牛肉とシーフードと分けて考えてみよう。

そのときの票結果は「牛肉カレーが3票、シーフードカレーが3票、シチューが5票」となった。これによってシチューが1番好まれる食べ物として認識されるようになる。

どちらかのカレーが選択されるべきでは?

これが「票の割れ」問題と言われる。ニーズに合った選択肢が増えることで、全く逆の選択肢が優位になってしまう。これを無くしたい。

 

ここでボルダルールを採用すると、どちらかのカレーが選ばれるようになる。多数決では1番目の候補以外は同律で0点と換算されるのと変わらない。ボルダルールでは2番目に良い選択肢も考慮に入れることで「票の割れ」を防ぐ事が出来る。

 

「社長失格」を読んで失敗談から未来で何をするか学んでみる

 読む経緯
起業するのはリスクが高い。投資をするときも分散投資をしてリスクを分けるのがいい。失敗したとしても、別の投資によって最悪の場合は防げる。副業が上手く行き出して、それなりの収入が見込めるのであれば移行するのが妥当であろう。
そういう起業に対する興味の中で。社長になるとどういうリスクがあるのかを、失敗の自伝から学べたら良いなと思って読むことにした。 
社長失格

社長失格

 

この社長の話から想像できたのは

この本は、ITベンチャーで社長になった方が、銀行の投資ブームと共に破滅の道をたどる自伝小説だった。表紙に十字架が飾ってあるのは、消し去りたい過去を本の中に埋葬したいとも読み取れる。 
 
自伝小説なので、解説書のように分析されていない。もちろん本を書くうえで、自分の状態を客観視して分かりやすく伝えるように表現はしてる。自分が感じた失敗の理由を考えて学んでみようと思う。
何が本人として悪かったのか
  • 社員との人間関係について考える時間が無かった
  • 社員との間で不信感が生まれた
  • 社員が馬車馬の如く働かされていた
  • お金の使い方が分かっていなかった
  • 儲けるお金よりも、銀行から借りているお金や運用しているお金が大きかった
  • 複雑で先見知識の必要なビジネスなのに、知識も後付けであり、計画性が無かった
  • ビジネスの計画なく会社を立てた
  • 地位のある人間の建前だけの人間関係に騙されていた
  • 会社の地位のある人でも、結局は会社の方針には逆らえない
環境要因は何が悪かったのか:基本は銀行かな。あとは弱肉強食の企業の世界かな。
  • 銀行側の根拠のないベンチャーブームがあった。これによって危険な投資を銀行自体が重ねていた。
  • 政府の取り組みで、理由づけのある企業のみに投資をするようにし。赤字の企業にはお金を貸さないように仕向けた。
  • お金の回収に目線を向けている人ばかりだった。当然な部分もある。大手銀行がヤクザまがいの取り立てをしてたのは幻滅したかな。
どうしたらいいのか
  • 自分がやりたいことを評価してくれる人からお金を貰った方が良い。そうでない場合は断るか。投資された場合に起きる「口出し」リスクを理解して行う。
  • 人間関係で信頼を失った場合に取り戻すには、新しい人間関係を作るのよりも相当の労力がかかる。本当に傍に居てほしい人間とは、積極的にコンタクトを取らないとやってけない。人間関係に必要なのは、好意的な条件付け と 一緒に定期的に関わる時間だ。近くに住むとか、コミュニケーション手段を持っておくのは大事なのかな。
  • 社員が休むことなく働かされていたのはブラックだな。給料は少なくてもいいから働く時間が少なくなるように調整したらいいんだけどな。時間を早急に迫られるような仕事は、人海戦術に任せた方が良い。
  • 私的な時間でのお金の使い方を、もっと行動的で無駄のないものが良かったかな。楽器したり。運動したり。本を読んだり。自分が能動的に行う趣味を持っておくのがいいね。
    あと、高級な家を建てるのもやめた方が良いのかもね。
  • 手元に実際にあるお金を多くしていくことが大切であり。さらに、銀行などから莫大なお金を借りた状態で運営するのは不味い。
  • 複雑で様々な知識が要求されるビジネスは、はじめての人が飛び込むべきではない。存在するリスクを列挙して、解決策を考えてから取り組むのが良いかもしれない。
  • 具体的な目標と方法を提示したうえで、人を集めたり一緒に開発に取り組むべきだ。
  • 建前だけの人間関係に騙されることなく生きるスキルが必要になる。
    会社の役員と仲良くなっても、会社と仲良くなっているわけではない。
    組織と個人を切り分ける瞬間が必要になる。
 
このくらいかな。また読みやすく編集してみる。

「ファスト&スロー」経済学と心理学の目線を融合させた本

 

この本の著者は、心理学を専攻している教授でノーベル経済学賞を受賞したという経歴を持っている。違う分野からの意見を提供することで、特に行動経済学の分野の発展に寄与したみたいだ。

経済学というのは、完全に合理的な人間によって判断が下される前提で理論が作られている部分がある。しかし、この部分は端的に言って現実とは違うし。実際に生活しているわたし達でも実感するものだと思う。例えば、宝くじを買ってしまったりだとか。衝動買いをしてみたりとか。使わない福袋を買ってしまうこともあるかもしれない。常に確率や期待値を比較して、選択しているわけではない。

 

読みやすさで言うと「予想通りに不合理」のコラムを集めた感じに似ている。変わっているところは、筆者が研究してきて培った目線から考察が味わえるのが面白い。こういう発展的な考えが出来るのかなと思いを馳せれる。

内容の有益さで言うと「影響力の科学」には劣る内容かな。ページ数の読みやすさで言うとファスト&スローの方が読みやすい。ファスト&スローの方が、ギャンブルをテーマにして確率や統計を扱った実験の紹介が多い。

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

 

アウトプットしまくろうと誓った日だった

 

書店に置いてあったのを衝動買いしてしまった。ボードゲーム制作を順調に進めている某氏の姿を見た後。考え事をしながら歩いて、近くにあった書店で買ってしまった。

衝動買いした後に内容を読んでみると、買わなくても良かったなあと後悔してる面もある。

 

読書で得た知識を利用して、面白いボードゲームを作りたいなと言いつつ。かなりの時間が過ぎていた。アイデアはメモ帳に溜まっては居るのだけれど、具体的にボードゲームの形にするには至ってない。

アウトプットとインプットの割合はアウトプット量を多くしまくろう。戒めとして当分は飾っておくことにする。

「漫画で分かるゲノム医学」を読んだ

 

遺伝子検査をしてみたい

 ビッグファイブテストで分類されている性格型と、自分の生まれ持った性格との対比が出来ます。生まれ持った性格をそのまま活かせると力を発揮しやすいので、観てみたいという好奇心です。高いので今は買いませんが(笑)

そういう感じで遺伝子について興味があったので、遺伝子関連の知識を入れてみようと思って読みました。 

マンガでわかるゲノム医学 ゲノムって何?を知って健康と医療に役立てる!

マンガでわかるゲノム医学 ゲノムって何?を知って健康と医療に役立てる!

 

 分かりやすくまとめられていた。初学者でも読みやすい本だった。これからのゲノム医療とか、ゲノム分析の活躍が想像できた。知ったことをまとめてみる。

遺伝子で身体変化を予測するのは難しい

SNP(スニップ):複数の遺伝子が関与して、身体変化が生じること

身長、肥満、高血圧、認知症などはSNPにあたる。

特異な遺伝子

お酒が飲めるか飲めないか分かる特異な遺伝子も存在する。

 

遺伝子検査:主にSNPの多型を調べる

採取方法は「採血、口腔、毛髪、爪、唾液」でとる。ちなみに一番上で紹介した検査キットは医療行為ではないです。遺伝子からくる性格の特徴が検査対象だからです。

医療機関を通すものは

医療行為が行える。遺伝病や病気にかかりやすい体質か教えてもらえる。

  • 突然変異したがん細胞を調べる
  • 病原体を調べる

 

がんについて

通常の遺伝子が変異を起こして、細胞が異常に増殖することで起こる。

  • 人によって変異する遺伝子が異なる
  • 治療法があったり、無かったりする
  • 複数の遺伝子要因で生じる場合が多い:「がん遺伝子」「がん抑制遺伝子」
  • がんは遺伝しない
  • がんになりやすさは遺伝する:乳がん、大腸がんなど

喫煙をしない。受動喫煙、飲酒を避ける。肝炎の検査を受ける。のが大事みたいですね。

日本人の2人に1人が、一生のうち一度はがんになるというデータがあります... ...(老いると遺伝子変異が起こりやすくなるという目線もありますが)

日本人におけるがんの要因

https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/image/01.png

引用元:科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

信仰は発展の依代なのだ「ホモデウス」

 

作者は、「サピエンス全史」で有名な歴史学者のユヴァルさん。専門家が、違う専門分野について語る時にありがちな偏見がないと良いなーと思いながら読みました。歴史学者の目線から見る、今後のテクノロジーと人間の未来を語っています。

内容は思ってたよりも、作者の専門分野での考察で進められていたし。違う専門分野の話も、実例を用いて話していたので読みやすい文章でした。

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

 

信仰が先か行動が先か

この本は歴史の流れを通じて、人が何を信じていたのかを順に巡っていきます。そして、現在の信仰になりつつある「データ主義」信仰の話で締めくくります。読んでいく中で、信仰とはその時々の生活基準で罪悪感や不安を減らすため、効率を向上させるための依代なのだなと気づけます。

狩りをして生計を立てていた時代

動物信仰:狩りのために動物の行動を推測する。気持ちを想像する。
自然信仰:自然の摂理に怯えながら、時に感謝しながら生きていた。

食料の取り方や自然災害による生死について考える。常に頭の中を回っているものが信仰対象になっているんだろうなと思った。ウサギやシカが居ないか探したり、動物を常に追うような生き方をしてたら夢にも出てくるだろうし。そうした中で見出した信仰のように感じた。

このルールに取っとるなら、趣味のことばっかり考えている人は趣味信仰者を名乗っても良いかもしれないし。ハードワーカーは仕事を崇拝しているし、、と、頭の中で繰り返される意識が信仰なんじゃないかと思えてくる。

農業の時代

限定的な動物信仰:動物は家畜化する対象となる
自然信仰が変容する:自然は加工する対象となる

キリスト教は動物を人間と同一視する見方をしていない。つまり、家畜化することへの罪悪感などへは言及がされていない。ヒンドゥー教は、牛の乳を搾るのは許されている。それって人間の都合のいいように信仰が変化してる証じゃない?という解釈は面白かった。

この農業の時代になってくると、人間同士でのトラブルに重点を置いた信仰が出てくる。「自然と人」という構図から「人と人」に変わっているのが分かる。

工業化した時代

人間至上主義:人間の欲望を達成する

  • 経済主義、民主主義:経済が繁栄したらいい
  • 優生学:生物的に優位なものだけが生き残れば良い

民主主義が発展した理由は、分散型のデータ処理だったからであり、共産主義が廃れたのは集中型のデータ処理では間違いへのダメージが大きいからだと説明した。

ここら辺に関しては、もし大企業が便利なアルゴリズムを作って一括で人を管理することを考えると、当時は出来なかったけど、今後はテクノロジーの発展で出来そうな気もするんだよな。。。

情報化の時代

テクノロジー至上主義:テクノロジーで人間の身体をアップグレードしたい
データ主義: データによって人間の行動をすべて管理したい

 作者は、ここで出来た格差は埋められないかもしれないと不安を煽ってくる。しかし、そこまで脅威があるようにも思えないんだよな。もちろん、遺伝子を操作するのは恐いけれど、データ主義に関しては生活が豊かになっていく一方な気がする。

データ信仰と語っていたけど、もう一歩踏み込んだデータに基づいた個々の物語信仰になる気がする。

データ単体では機能せず、それを解釈するための仮説がいるし、過去が分かったからといって全ての細かい未来が分かる訳じゃないからだ。個人が物語を作りやすくする方向にデータを集めて、日常での物語を作るようにプロデュースするツールがあって成立してきそうだと思った

最後に疑問を

この作者が言いたかったのは

  • 「データ主義」信仰の先に待っている未来は、得るものと同時に失うものが有るかもしれない。君たちは何を望むのかい?

という一文でした。

別にテクノロジーの発展した未来には興味があるし。むしろ楽しみである方が強い。人間が幸福になるアルゴリズムや、健康になるアルゴリズムが増えたら興味心身だ。

その先には、アルゴリズムが人間を用済みとして抹消するかもしれないよ?という漠然とした疑問符をユヴァルさんは投げてくる。そこは気にし過ぎではないかなと思うよ。もちろん気をつける必要や今後について考える必要はあるだろう。でもテクノロジーは使い方次第じゃないかな。

 

人間の信仰と、時代の需要を考えたときに、マッチしていたのだなと気づかされた。面白い視点が貰えたので良い本だった。