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後悔する前に親切にしよう「四畳半神話体系」

  Amazonプライムにあったので観てみたら思いのほか面白かった。この人の作品は気が向いたらまた楽しもうと思う。世界観が濃いから、次に楽しむのは3年後とかで良い気もする。

この物語が伝えたいテーマは最終章手前から明かされていくので、飽きたら飛ばして観ても十分に楽しめる。大事なのは何章も同じ生活を繰り返していることと、すべての物語で登場する人物の見え方が少しづつ変わっていることに気づけばいい。

以降はネタバレありきで書いていく。この作品を通じて、自分の大学生活をまとめられたらいいなと思った。

#1 テニスサークル「キューピット」

#1 テニスサークル「キューピット」

  • 発売日: 2015/12/18
  • メディア: Prime Video
 

この物語は何を伝えたかったのか

 最終話が全てだと感じた。最終話だけ見るだけで意味が分かるような気はする。長い長いお通しを食べさせられてて、メインディッシュを出し渋りされてた。

簡単に解釈すると「どの選択をしても自分の人柄から後悔をする人生を歩むだろうから、あの時こうしていればという後悔の渦に巻き込まれるぐらいなら、燻っている先輩の恋路を後押しして、今まで付き合ってきた友人が困っているならば助け船を出し、自分の存在意義を見出し、いままで臆病で近づけないでいた高嶺の人とは付き合いの算段をとって今の人生と向き合うのだ。」という、現実への程よい諦めと勇気と期待に向き合うように勧めている作品だった。そうすれば上手く行くよと。諦めと言うのは、自分がたどった道は妥当であるということかな。

 この物語は好きだ。全面肯定はしないけど、それでも出会えてよかった作品だと思っている。

主人公の気持ちが分かり過ぎる

 この物語は、京都での順風満帆な生活を夢見ていた大学生の2年生から3年生にかけての出来事を綴っている。主人公は失敗して散々な目にあった挙げ句に、お世話になった先輩や友人を助けて恋を成就させるというへんてこなストーリーだ。

大学2年生と言うと自分も苦い思い出がある。

その頃のことを精算したい気持ちもあり、メンバーの顔を見るのも嫌だったりする。メンバーが嫌いというより、当時の自己内面を鏡移ししているかのような気にさせられて嫌なのだ。あの頃の自分に対面して、どうしようもなく愚かだったことを思い出すくらいなら、未来の物事について分かる範囲で語って少しずつ宇宙を広げている方が気が楽だ。まるで妖怪みみっちいだとは思う。

 完全犯罪で逃亡し切れていないのも事実だ。心のわだかまりに絡まって転けていたりする。それは自業自得と言う奴だろう。

四畳半のテリトリを広げることを作者からお勧めされて
わたしは、この作品と同じように家から出ないで空想の中で時間を消費していることの方が多い。

 この物語に啓発されるなら、腐れ縁の友人を救って、恋を成就させるのが良いんだろう。同意するかは置いておいて想像してみよう。

  • 主人公のようにつまらない人生を歩んでいるのは同意しよう。けれど、腐れ縁の友人を助けるにしてもどのようにして助ければいいのだろう。まず私は友人が困っていることさえ知らない。気づけてない。大学2年生の時に逃げたのも清算が出来ているとは言えない。どうにかして、人に知られずに恩返しを達成する方法がないか思案することは有るけれどそれが浮かんでくる気配はない。
  • 明石さんのようなキレのある不思議で理知的な女性に会ったことは、、、、有るが。有るけれど距離が遠い。自分のテリトリー範囲内にあるものじゃないと物語は進まない。進めたくない。体力もお金も掛かりすぎる。臆病と言うか。物理的に体力的にキツい。通常の大学生のように何日もオールできるような体力を持ち合わせていて、昔から身体が丈夫だったら別だけどそうでもない。

 まとめると、一期一会で人に贈り物を定期的に返すこと、体力を増やすことと、アクセスが良い場所で生活を完結させることが良いと気づけた。まず四畳半の中に必要なものを敷き詰めれるようにするのが大事だ。そして後悔する前に感謝を何らかの形で返しておくのは、心残りを潰しておくためにも大事なのかもしれない。そういうノウハウを忘れそうな自分は癖にしておいた方が良いのかもしれない。すぐに返すのは不自然だから、たまに周囲の人に感謝して深く楔を与えるような贈り物を返すように心がけよう。

この物語の最後に、主人公が部屋を6畳か7畳に引っ越したのは、テリトリーを広くしても良いかなと思えたキッカケが彼の中で芽生えたからだろう。それは友人との繋がりを補強したり、恋人の明石さんに気持ちを伝えれたからだとは思う。残念ながら私はまだ4畳で十分だ。というより4畳以外の選択肢はない。それ以上の不確定要素を背負える自信がまだない。それでもこれからは出来ることはしていこう。
四畳半のループ

最終章手前にある四畳半のループは、自室にこもって過去を振り返っていた描写だと思う。実際に自分も似たことをやった。

過去を振り返りながらその中での後悔を壁に貼り付けた。たくさんの願望や意思も貼り付けた。その壁を凝視して、、、これらの思想をまとめてゲットして壁を壊して進めれば良いなと思って夢を見た。

 あれは過去を後悔しているだけじゃなくて、過去の中から未来でどのようなものが必要になるのかを考えている描写だと感じた。そういうことを他の人もしていたんだろうかと少し勇気が出た。

この作品に出会えて

 後悔する前に、感謝を仕掛けることと親切を仕掛けることが大事だなと振り返れた。正直、この作品をきっかけにしなかったら過去を振り返るのもスムーズにいかなかった気がする。キッカケを作ってくれた作品として感謝している。