三日月って、「新月へと向かう三日月(有明月だから三日月ではない)」と「満月に向かう三日月」のどっちもあるよね?って考えてしまって書評するのを迷ってました。満月に向かう方が三日月なんですね。本の絵もきちんと三日月が描かれてます。
この本は、戦後教育から少し経った学校向けの塾が経営される所から始まります。主に塾で働く人たちを中心にした物語でした。そのため、「作者が伝えたいこと+実際の様子」がテーマに混じっていました。本に関わった人の紹介で教育機関の名前が並んでいたので、実際にリサーチして書いてることも伺えます。教育の歴史が小説を通して知れるのは印象深くなり分かりやすかったです。
作者が伝えたいことを想像して自分なりにまとめてみる
この本を読み終わった後に考えることが沢山あります。現状の教育問題と教育課題について暗示していました。この本を通じて興味が沸いてくれたらいいな~という作者の意図が感じ取れます。
感じたこと
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人間的にかけている部分があっても、それがその人なのだ
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そのかけている部分を補おうとする姿に感動する
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社会的に環境が欠けている人を、能力が足りないと烙印を押された人を補えるようにしたいと思う姿に感動する
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時に、満たそうとするあまりに、問題を抱えていることに気づけないことがある
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それも人間らしさ
- 欠けていても良くて満ちようとする姿が美しいのだなと→三日月に繋がる
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大義のためなら執念のごとく行動できる女性の姿を感じた。
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泥臭さを感じた。スタイリッシュさには欠けた。ありのままを感じた気もした
ある一家の世代の移り変わりを体験できるので、「若さ、老い」に対する現実的な側面を観ることが出来たと思う。かなずしも悲観的では無くて、歳をとっても変わらない良さがそこにはあるというメッセージも見えた。
この作者が伝えたかったこと
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自分の情熱に従って生きてもいいのだというエール
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女性の力強さを感じた
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失敗したとしても次の挑戦を出来る環境をさがしてトライしてほしい
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人には良いとこも悪い所もひっくるめて人だから、自分に適した方法で社会と向き合っていけばいい
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満足することなく前へと進みたいという思いから行動していくことで、生き生きとした人間へと変わっていく
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現在の問題への解決方法と環境は、過去とは異なる。けれど、世代から世代へと根本的な思いは伝わっている
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前の世代での失敗を次の世代が活かすようになる
世代を追うごとに新しい価値観が生まれていき、生活がスムーズに向上していく。もし、死なない身体を人間が手に入れるようになったら、世代交代が起きずに、新しい価値観が生まれなくなるというのを思い出した。
自分が良いなと思ったこと
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失敗したとしても次の挑戦を出来る環境をさがしてトライしてほしい
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人には良いとこも悪い所もひっくるめて人だから、自分に適した方法で社会と向き合っていけばいい
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満足することなく前へと進みたいという思いから行動していくことで、生き生きとした人間へと変わっていく
自分が目指している信念と近い考えを持っている人から、考え方を聞いておくのはいいかもしれないと思えた。実行する方法は全く違うとしても、その核の部分が一緒である可能性もあるんだろうなと。
この物語での違和感
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こどもに教育をするというのが一体なんのためなのかを考えてみたい。
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学校で成績が芳しくない人を救済することなのか
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自分の頭で考えて学べるような人間になるのが、教育として大切なのだと語っている場面もある。
教育の意味への疑問が自分の中で沸いた。研究のように自分で勉強できるようにするのが教育目的だと言うのなら、研究の仕方への効率的な方法を教えた方が良いと思う。目標に対して実施している事が、すこし的がずれているような気もする。
この微妙な違和感によって、教育者の熱血的なところに対して一歩引いてみてしまう自分がいる。もちろん、最終的には、自分で学べるような人になっている事の方が多いのだから全て悪だとは言えない。