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人間の共感ってすごいね

 「共感脳:ミラーニューロンの発見と人間本性理解の転換」を読んだ。心理に関する約100個の論文から、共感をテーマに人間の普遍性を教えてくれた。実験の対象は主に人間を取り扱っていた。

 

 

ミラーニューロンとは

 wikiは便利だ。本の内容は実験内容について触れていて理解が深まった。

ミラーニューロン(英: Mirror neuron)とは、霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動する時と、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞である。他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように"鏡"のような反応をすることから名付けられた。他人がしていることを見て、我がことのように感じる共感(エンパシー)能力を司っていると考えられている。引用wikipedia

本書で扱っていた一部でミラーニューロンが活性化したもの

  1. 人の手が触られているのを見ると、自分の手が触られているように感じる
  2. 他人の痛みを自分の痛みとして捉える
  3. ピアノを習っていた人がピアノ曲を聴く
    →経験をしていると、未経験者とは別の脳部位も活性化する。

と言ったことがミラーニューロンの観察で分かったみたいだ。1と2あたりは、映画を観ている時にも起こるね。3は経験値を詰んでおけば、見える世界が変わるんだなと思えた。いろいろな経験をして知覚を増やしていきたいね。

赤ちゃんの発話

機械学習にも使われてそうな法則が出てきた。

ヘッブの法則(ヘッブのほうそく)... ... ニューロン間の接合部であるシナプスにおいて、シナプスニューロンの繰り返し発火によってシナプスニューロンに発火が起こると、そのシナプスの伝達効率が増強される。また逆に、発火が長期間起こらないと、そのシナプスの伝達効率は減退するというものである。 引用wikipedia

赤ちゃんって生後1ヵ月で母音に似た音を発声して、生後4ヶ月までに子音が加わって、12ヶ月で発話で遊ぶという、段階を経て"声"を習得するんだね。知らなかった。遊ぶことも学ぶことに含まれるんだな。 

  • 自分が出来ない動作ではミラーニューロンが活性化しにくい
  • 赤ちゃんが発話出来るようになると、大人の会話を聞いて学習する

赤ちゃんには沢山の言葉を掛けてあげると良い。と言われるけど、その理由が共感能力が働くことで自分が完全に発話出来なくても学習できることだと知れた。本書では取り上げられてなかったけど、絶対音感とかも近いと思う。子どもの頃は共感能力が高いから、暗記学習が上手くできると言うのも関係していそうだ。九九とかも幼い年齢に覚えないと大人で暗記するのは難しいと言われたりするよね。

発話出来るようになった赤ちゃんには色々な言葉で話しかけよう。

他者を理解するとき

 人の行動を推測するとき2種類の方法が取られるみたいだ。これが複雑に交差して、他者の理解を促すみたい。
  1. 自分が経験した感情から推測する(共感ベース)
  2. 相手行動の観察を通して推測する

1でも自分の経験をベースに置いているので、相手と自分の感じ方が違うことで共感のすれ違いが起きる場合もあるようだ。2とかは推測するための理論組み立ての話だと予測できる。

 他者を理解するコツ
  1. 相手と同じ行動、ポーズを取ってみる
  2. 相手と同じ表情になる経験を思いだす

1はやった時に、相手がテクニックを知ってたら逆に白けるようだから使う機会はなさそう。共感しているから相手と行動を合わせるのか、行動を合わせるから共感するのか、卵と鶏のどっちが先か分からないやつだ。無意識の自分が相手に共感していたのか確かめるのに使ったらいいと思う。

2はやってても変では無さそう。知らない経験談だけど、こういう感情に近いのかなーと想像しながら話を聞くのに使えそうだ。

倫理感を変えるには

道徳とか倫理は、共感だったり感情ベースで構成されている。意識的な判断がベースで捉えられているわけではない。そこで、道徳や倫理を一新するためには感情に訴えかけることが推奨されていた。

意識的な判断を、いかに解釈しやすい感情に訴えかけたものに加工するのか。伝え方の技法を学ぶためにセンスを高める?多くの人に伝えようと思うと大衆的なセンスが必要になるんかな。伝わる人に伝わればいいかな感はあるんよなあ......

自閉症について

自閉症の人と健常者の違いがミラーニューロンをテーマに書かれていた。理解が深まった。自閉症の人は相手への共感速度が遅いと言う特徴があり、年齢を重ねることで反応が早くなるようだ。親が自閉症である子どもに対して諦めてしまい、大事な発育時に知的な刺激が得られない方が危険であると語っていた。

それと、年齢が経ってからニューロンが活性化する人は人間関係が充実する統計も出ているようだ。経験を増やすことで、結果的に色々な人との交流が増えるとも考えられるかな。

サイコパスについて

サイコパスの特徴のひとつである、共感能力の欠如をテーマに語っていた。サイコパスについてはwikiのが詳しいかもしれない。精神病質 - Wikipedia 分類の仕方に諸説あるみたいだね。共感能力が欠如していて反社会性があるのがサイコパスだと捉えていいかな。

共感能力の高さとか低さに関しては遺伝的な要因、後は環境要因で共感性を失うこともあるだろうね。環境要因では逆に共感性を強める場合もあるとは思う。

本書で述べられていた、法律はサイコパスのためにあるという解釈はあっていると思った。サイコパスに限定するだけでなく利益を搾取する人を除外して、協力関係を結びやすい風土を保つのが発展には必要だと思う。

関連本

霊長類学者によって書かれた本。チンパンジー属のボノボに対して行った、共感に関する実験を主に引用してあった。4か月前に読んでいて共感への関心が髙まった。「2010-07-23 - 思ったことを「メモ」に書いておく」のブログを見返すと内容を思いだせる。動物実験ではあるので人間に対して行った実験よりは説得力には欠けるけど、関心を寄せるには良い本だと思った。

共感の時代へ―動物行動学が教えてくれること

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 気になっている本です。内容を推測するなら「共感の良さは社会の団結力を高める。一方で反共感性の良さは、衝動に寄らない倫理感を一新するのに役に立つ、ルールを変えるのに役に立つ。」と言ったところかな。ルールを作ったとしても広めるには共感能力が必要にはなるね。

反共感論―社会はいかに判断を誤るか

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