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「Life is Strange」考察集めての感想

 
フランスのゲームスタジオDONTNODが開発したゲーム「Life is Strange」にハマったのでまとめておきます。
○参考にした動画投稿者:geek WAVE / 化学者のゲーム実況 - YouTube
この方の投稿動画を観ながら気になったことをまとめてみました。

この話に入れ込んだであろう要素達

SFとファンタジーが入り混じった世界観だった。

  • 抗えない異常(SF、理解できない脅威):バタフライ効果、タイムパラドックス、異常気象、カオス理論
  • 人間が引き起こす問題(現実、困難):行方不明者、昔の親友との離別、いじめ、理不尽な権力関係
  • 切り開く力(ファンタジー、理解できない祝福):巻き戻す力、マックスの負けない勇気と選択、守護動物

まだまだ要素はあるだろう。色々な要素詰め込みまくってお腹一杯だった。ファンタジーもありつつSFもありつつ。人間の暗い所を表現している作品でもあったし、友情についても触れていたし、家族についても......考察を入れて、時間を置いて、作品を楽しむのが推奨されるのだろうね。 

 引っかかる点があったのは、裏がある登場人物として、猟奇的な写真教師、悪い金持ち、麻薬の密売人が描かれているんだけど、だいたいのキャラクターが性格が悪かったとしても理由があるのに、この人たちは完全な悪役として登場している。何故なんだろう。疑問に思った。

自分だったらどうする?

実際、時間を巻き戻せる能力が有ったらどうするんだろう。この物語を知ってしまった身としては、バタフライ効果が恐くて干渉出来ない(笑)
まず身の安全を保障してくれる団体への加入をして、科学的根拠の裏付けを得るために論文作成に協力するか?時を巻き戻す能力者マックス、政府機関の調査によりマックスの遺伝子に突然変異が……(笑そうしてクローンが生み出されて、、、いっそうカオスになるか。
 人間は情報を予め知ってるだけで表情や身振りに出てしまう。タイムパラドックスは注意してたとしても容易に起こる。
例えクロエを犠牲にしてマックスが日常に溶け込んだとしても、マックスが時間移動を経験したことでの変化が見られるだろう。マックスは以前よりも勇気を出しやすいキャラクターになっているだろうし。物事に達観する姿は変化と見なしていい。
 マックスがクロエを犠牲にしたとしても、町を犠牲にしたとしても、選択に迷った時点でどちらを選んでも幸福も不幸も感じとる。それが能力の代償なんだろうな。

守護動物について

登場人物にはモチーフとなった動物が割り振られている。アメリカ先住民の守護動物についての考え方を取り入れてそう。自然崇拝に近いのかな。様々な動物を見ていれば分かるように、人によって長所と短所があると伝えたかったとかかな。
  • マックス:雌鹿
鹿のシャツや鹿のネックレスを身に着けていた。
鹿がよく表れていた。
蛾のシャツを着ていたのは何だったんだろうか。
  • クロエ:青い蝶(刺青が青い蝶)
  • レイチェルアンバー:アオカケス(レイチェルのイヤリングにアオカケスの羽)
  • サミュエル(用務員):リス
  • ケイト:ウサギ
  • ネイサン:クジラ
  • ジェファソン:フクロウ

こう見て見ると、ジェファソンのフクロウとネイサンのクジラだけが肉食動物。暴力的なキャラクターの守護動物が肉食動物なのは、意味があるのかもしれないですね。

マックスの時間を巻き戻す力

自分なりの考察なので、色々な意見はあると思います。
強い思いが力を発現させた
  1. 「わたしはクロエと過ごすための時間を取り戻すため、クロエと友達なのかを確かめるために地元に帰ってきたのかもしれない。心残りだった。」と、マックスの日記に書いてある。 
  2. ダウンロードコンテンツのクロエ編では、クロエが「マックスと連絡を取りたい」と日記に書いている。

両者の思いがファンタジーな能力になった説。

マックスはクロエが書いた物語の主人公であり、実際は疎遠になっていた説
  1. マックスはメールでのやり取りを意図的に止めている。他の人のメッセージには律儀に返信している……手紙のやり取りになっている。それに対してクロエは不満を持っている。マックスには伝わっていない。気軽に伝え合える関係ではなくなってる。
  2. ジェファソン先生が完全な悪役に描かれている。この物語では、キャラクター達は良い面もあれば悪い面もある性格に描かれている。完全な悪役として出ているのが、ジェファソン先生とネイサンの父親だ。
  3. そのジェファソン先生を慕って、マックスは町に戻ってくる。
  4. 色々あってクロエとの友情は復活する
この完全な悪役のジェファソン先生は最近やってきた先生だというのも怪しい。この先生自体が作りものの悪役ではないのかと考えてみる。そうして考えると、マックスの物語がどちらに転んでも幸せな人物がいる。それがクロエである。
クロエはマックスのことを親友だと思っている。そして、マックスが同じように自分のことを思っていることを願っている。クロエを犠牲にするか町を犠牲にするかの選択はどちらでも良く、マックスとクロエの間に特別な絆が出来ているような話を書くのが大事なのだ。

クロエの生死、アルカディアという町の崩壊について

クロエが亡くなり、町は平和が続く
結局、どの世界軸でもクロエは死んでいた。この町での進行ではクロエが亡くなることが定常状態なのかなと見てる。
 このLife is Strangeは、アルカディアベイという町を舞台にしている。このアルカディアという言葉に関連して、「アルカディアの牧人たち」という絵があり、これが町のモチーフになっている話を知った。

人間は「時間」の脅威には打ち勝てない。古代の人々は、人間の死は、かりの姿で、その霊魂は不滅で、永遠である、という信仰によって、死の恐怖に打ち勝ってきた。
その後、信仰は衰え、哲学が生まれた。
信仰や神ではなく、自分の意志で、死というものを直視し、受け入れる。運命をそのまま、強い意志を持って、受け入れる。
... ... アルカディアは失われた過去の黄金時代への郷愁、というイメージを持ち、理想化された。

参考:ニコラ・プッサン 「アルカディアの牧人たち」 画像と解説

こういう要素が後ろ側にある。このアルカディアの哲学を肯定するとクロエが亡くなる世界が正しいということになる。死を受け入れなさいという意味になる。
 ただ謎がある。クロエの棺桶に青い蝶が止まるシーンが最後にある。そこでマックスが微笑んだのだ。青い蝶=クロエの霊魂と見なした。これはアルカディアの哲学ではなくてアルカディアの信仰に戻っている。これは良いんだろうか。後退していないか?
クロエは死なず、町は崩壊する
「哲学(法)=アルカディアの町」だから、今ある哲学を捨ててしまって「新しい何か」を打ち立てていくエンディングもありだと思う。
信仰が消えて、哲学が生まれて、、、より精密な科学が生まれて、、、以後続く。この物語で登場していた「バタフライ効果、タイムパラドックス、異常気象、カオス理論」とかは科学の発展の末に起こる、町の変化について疑似的に表しているんじゃないかと思っている。
それは考え過ぎで、信仰よりも、哲学よりも、友情が勝るみたいな話でもいい。 少なくとも、町を犠牲にした後は新しい秩序を生み出さなければならない。もしくは秩序が産まれていることになる。
アルカディアという町は信仰から哲学へと軸を変える絵、、、そこに別の軸(科学)が入ってきた。その後、どう変化が起きるのか。それを描いたのがこの作品かもしれないね。
クロエが書いた物語だと仮定すると
  • 町を犠牲にするエンド:過去にすでにマックスは町を出ていて、クロエも大人になってから町を捨てて違う町での新しい人生を歩む意味を持っている。
  • クロエを犠牲にするエンド:マックスがクロエを置いて町を出たのは仕方ないことで、今でもマックスはクロエのことを思っているはずだと信じている。
かな。アルカディアの崩壊は、田舎町から出て新しい人生を進むという暗示になっていると見た。だから、暗示を読むなら町を犠牲にするエンドもしっくりくる。
町について知って面白かったこと
デービットがメモしていた位置座標をGoogle mapsで検索すると、ティラムック湾の中に町が存在していることになっている。灯台とかモチーフになっているんかな。物語を見た後だと感慨深い。ビーチにいる犬がフランクの愛犬に見えてしまう(笑)
 
○Bayocean Peninsula County Park(観光案内):
 
現実世界では町が沈んでいることを考えると、クロエを犠牲にしないエンドが正解だと暗に言っているようなものだとも捉えられるか(笑)

この物語の登場人物で、誰に親近感を覚えたか

  • ジャスティン:気怠そうなスケボー男子
  • ブルック:ドローンを使ってる眼鏡女子
 
○2020/7/13追記
ふと思ったのが、マックスが持っている時戻しの能力はSF要素に属すんじゃないかと考え直した。
クロエが書いたマックスが主人公の線で考えていくと、マックスがSF能力を持っているのはおかしくない。古いしきたりを守る町を出て、イケイケな都会から戻ってくるマックスは、クロエにとっては町を包み込んでいくSF現象を所持しているように見えるのは辻褄が合う。