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「経済は『競争』では繁栄しない」を読んで

 学んだことを手短にまとめてみた

学んだことを手短にまとめると以下の3つを見直せた。

  1. 働き方
  2. 愛情の大切さ
  3. 社会経済の根本
別の本からも同じ内容が学べた

移民の経済学もセットで読んでいたので余計に感じた。
この本も「相手を全面制限するより、部分的に制限して移民を受け入れることが大切」と書いてあり「信頼感」を副題として読める本だった。

移民の経済学

移民の経済学

 

セロトニンと協力について

経済学の博士である著者はセロトニンと経済に関係があると考えており、信用度を計るゲーム(ゲーム理論囚人のジレンマの報酬verと考えてよいはず)の得点と採血の検査結果のセロトニン、テストロテン量の相関関係を比べる実験をした。このゲームでは互いが協力的な行動を取れば高い得点を得られる。

女性ホルモンのセロトニンの量が多ければゲームの得点が高くなる関係性が得られた。 男性ホルモンのテストロテンが高いとセロトニンの発生が抑制されるので得点は低かったようだ。

つまり、セロトニン量が協力関係に影響していると考えられる

セロトニン」とセロトニンの効果を高める「オキシトシン」を体内で発生させる方法

本書で実験していた例を2つ書いておく。

  • ハグ、マッサージのようなスキンシップ全般
  • 映画を観たときや結婚式で親しい人が祝福されるときのような「共感」

一斉の賛美歌、ライブで盛り上がることも「共感」となり、オキシトシンが上がるようだ。 宗教はオキシトシンを出すための方法だと著者は仮定していて、実際に信仰心が高い人はオキシトシンが高い。 ライブ好きな人もオキシトシンが高いと仮定も出来そうだ。タバコに含まれるニコチンもセロトニンを作るが、こちらは肺に宜しくないのでお勧め出来ない。

参考:セロトニンを増やす方法を詳しく解説 | 快適.Life

本書はハグが大好きな著者が書いているので「ハグ」が強調されがちである(笑)

 「信用、信頼」か「利益、利得」か

8章の最後に出てくる折れ線グラフも考えさせられた。

アメリカ国民の自国への信頼調査では年々下がり続けており、1968年には55%あったものが2010年では35%以下になっている。

同時進行で読んでいた「移民の経済学」の本からも引用すると 移民を受け入れていたアメリカ社会の方が経済が成長していた。 アメリカ政治において移民を制限する理由が感情論になっており研究結果に基づくメリットとデメリットの争点になっていないとも言われている。 移民制限については難しいところもあるが、アメリカの「信用、信頼」は二の次で「利益、利得」を中心に置く考え方で少しづつ自らを滅ぼしているようにも見えてくる。

日本はアメリカを見習っている節がある。 「利益、利得」が中心の、隣人を疑うような国民性に発展させたくはない。 有り難いことに日本の文化には「信用、信頼」を中心に据える考え方が存在する。これを強みにしていくべきだろう。 日本文化全てが良い訳ではない、日本の歴史上の失敗は恥ずべきものも存在する。 考慮した上で「利益、利得」を狙う社会を作り上げたいものだ。

 「協力の8割」と「あとの2割」

ここまででセロトニンこそ正義だと書いているが 「利己的な遺伝子」で読んだ知識の観点から戻ると、大事なのは「正義」より「生存競争で生き残ること」だと考えてはいきたい。

著者も「セロトニンだらけで世界は平和だ」とは考えていなかった。 セロトニンが過多だと「人を信用しすぎる」という特徴が目立ってくるという実験結果がある。過度なセロトニンの補給にも注意を促している。

適度な競争心を保ってテストロテンの力を借りることも必要だということだ。 社長や大統領のように地位が高くなると、同時にテストロテンが高くなるのは避けられないようだ。社会全体の平安を願うなら、マインドフルネスや有酸素運動を通して前頭葉を強くして自制を利かせれる大物になることを心がけたい。