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「自負と偏見」を読んだ

 
この本の登場人物であるダーシーの性格型はINTJかも。という記事が有って興味を持ち、「「高慢と偏見」を読むなら、おすすめの文庫はどれ? 各社版徹底比較! : 備忘の都」でお勧めされていた一番読みやすい翻訳を選んだ。
 
以下はネタバレが入ります。
自負と偏見 (新潮文庫)

自負と偏見 (新潮文庫)

 

 

教訓を考察する

この物語を通して作者は、性格との付き合い方を教えたいのだと思った。それを考えてまとめてみた。 

 

 自身の特徴を理解して調整する

単純な戒めの教訓
ダーシーは周囲に対して知らず知らずに高慢を持っていて、エリザベスはダーシーに対して偏見を持っていた。それによって、本来であるなら十分に実るはずの恋が実らなかった。だから、偏見を持つのは良そうね。高慢になるのは良そうね。という教訓の物語だったのかな。
開き直りの教訓
2人の恋がはじまったのは、歯切れのいい筋の通った話をするエリザベスにダーシーが心動かされたことだ。それならエリザベスが持っていた偏見は仕事をしている。そして、ダーシーが高慢な精神によってエリザベスのことを一途に思えたのも恋が発展した理由になる。だから、偏見と傲慢も恋には役に立つ場合もあるという教訓にも聞こえる。
 
この相反する教訓をまとめると、ダーシーには高慢なところがありエリザベスは偏見を持つことがある。それぞれが自身の短所を理解することで、時には自分の考察を置いて互いの意見を取り入れることで、なるべく公正な判断が出来るようになる。

どのような結婚や付き合いが良いのか

自分の性格と相手の性格で補い合えるか
結婚や付き合い型に対する教訓の目線も見える。エリザベスの結婚、姉の結婚、妹の結婚、親友の結婚を並べて対比させている。その中でもエリザベスや姉の、結婚の意図の方が大事なのだと暗に作者は告げているように思う。
  • 一緒に居て信頼できる仲間なのか
  • 自分達の生活をより良くする中で、利害が一致する
  • 一生を安定して暮らすための資金が見通せるか
 ここら辺を上げているように思えた。

自分なりに気を付けたいと思えたこと

自分の中にある高慢さを意識して真摯に生きるよう心掛けよう。元々、ダーシーのようにコツコツと善行を積んでいる人間でもないので尚更意識して行けたらいい。真摯さも追加で持ち合わせたいものだ。(笑)
 
エリザベスがダーシーのためを思って語っていた。「ダーシーは笑われるのに慣れたらいい。」というのは、笑うことで過去の自分を切り離して考え、客観的に捉えられるようになる一歩なのだろうとも思えた。
 
ダーシーの言葉を借りるなら、自分の失敗を笑って話せるようになるには「勇気より時間が必要ではあるけどね。」とは思う。ゆっくりと変化する目線で行こう。急いで体調を崩すよりはいい。

作品として

最後に作品として評価してみる。

  • 姉妹が5人も出てくるから、はじめは誰が誰なのか分からなかった。登場人物が個性的になると分かりやすくなった。
  • エリザベスの心情と地の文が入れ替わり立ち代わりで出てくるので、途中からエリザベスが読者に語り掛けているようにも思えた。筆者が技法を使って、読者に印象深く残そうとしていたんだろうね。
  • 作者が教訓的な目線を伝えたいのが理解できた。それなのに「教訓教訓」をぎっちりと感じさせるような内容でも無かったので読みやすいのも良いところ。

 

時代と国も違うので価値観が異なるのが奇妙で新鮮だった。興味が持てたので、この時代の他作品も読む気が沸いた。良い作品に出合えた。