この著者の語りをずっと聞いていたい気持ちになった。文庫化されたのも読む人が多かったからだろう。
人体六〇〇万年史──科学が明かす進化・健康・疾病(上) (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダニエル・E・リーバーマン,塩原通緒
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/11/21
- メディア: 文庫
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人体六〇〇万年史──科学が明かす進化・健康・疾病(下) (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダニエル・E・リーバーマン,塩原通緒
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/11/21
- メディア: 文庫
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著者は進化生物学者であり、「人間の進化」を中心において健康やこれからの人間の在り方に疑問符を投げかけている。人間が原始時代からどのような進化を遂げて厳しい環境を生き延びてきたのか。文明が発達することで今までは無かった環境が出来て、身体の構造や欲求が適応し切れていないために起きる「ミスマッチ病」について考えを述べてました。
上巻
上巻ではどのようにして人間は他の原始人と差別化を図って成功したのかを教えてくれました。カロリーを貯めこむための脂肪の良さ、脳を大きくして協力して生活することが主でしたね。原始人ってジャガイモ食べて暮らしてたんですね。
住んでいる大陸が島のように小さいと、人間の身体が小さくなるというのは知らなかった。ホビットの元ネタが存在していたことに驚きましたね。「ホビット族は実在した。今度は70万年前の「小さな人骨」が発見される - まぐまぐニュース!」
原始人の生活ってどんなんだったんだろうと思いながら、ディスカバリーチャンネルも観てました。火のおかげで動物から襲われにくくなったり、食べ物の消毒が出来るのは良いですね。
下巻
下巻では、文明によって生活環境が変化していく中での食事と運動について語っていました。他にも生活習慣の変化にも触れているけど主なのはこの2つだった。
昔の高カロリーな食事と言えば蜂蜜しかなかったけど、最近はジャンクフードやら加工された砂糖やらが簡単に手に入るようになってしまった。そのせいで血管に脂肪がたまりやすくなったと仕組みを説明してくれました。脂肪がどのように蓄えられるのかや取り出されるのとか、脂肪の付きやすさは子供の運動量で決まるとか、役立つ情報が多かったですね。なるべく低GI食品を食べたいですね。あと早食いが何故ダメなのか理解できましたね。運動も大事なのも分かりました。
それで
読み終わったあとに健康に気を付けたいと思える本でしたね。
- 食事はなるべく加工されていないものを食べた方が良い
- 高カロリーのモノを食べると分解しきれないので、脂肪分として血管に流されて細胞が脂肪分を吸収して大きくなる。つまりすぐに太る
- ただし食物繊維と一緒に食べると消化が遅くなるので分解できるようになる。
- つまりリンゴジュースはカロリーが高い
- 綺麗にしすぎてウイルスから遠ざかることで、日常生活で困るような喘息の症状にかかりやすくなる
- 多少は細菌との触れ合いを。著者は糞便粉末を飲めば良いんだと言ってるけど本当になるのか気になるところ
- 運動は小学生の頃にしっかりやっておき筋肉や骨を強化しておく。脂肪のつきやすさも決まる。
- 継続的に運動をしていると骨の強度が維持されて、骨粗しょう症に不安にならなくて良くなる
- 1週間に1回程度で良いから負荷のかかる運動を取り入れたほうがい。血管に溜まっているプラーク(血管にたまる膿みたいなもの)を血圧で流せれる。溜まっていくと血管を塞ぐようになって、血圧が常時高くなる。
- 太っていても痩せていても、運動を定期的にしている方が健康的である
- 著者が裸足で散歩に行くのはどうかしている。
- 武道家は裸足で練習しているから足の皮が適度に厚くなって環境に適応しているという発想は実感できた。
という感じでしたね。心理学的に「清潔感がある」方が対人魅力が出てくるから、不潔にしすぎるのも難しい所ですね。全体的に運動したり食事を制限し、現代病を予防して健康寿命を延ばしましょう。というスタンスでしたね。
現代病を直す案として「身体の細胞を強くすることで癌細胞に打ち勝てる化学療法」にも触れていました。解決策も増やしつつ予防して健康で長生きで来たらいいですね。
画期的ながん治療にノーベル賞 日米の研究者が共同受賞 - BBCニュース