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アステカ

小説

ある農村地で父と暮らすアステカの姿があった。
村にはアステカを抜いて若い担い手はいなかった。村がなくなるのも時間の問題だった。

母は物心付いたときから行方が分からない。失踪したのではないのか、襲われたのではないのか不明である。
父が畑仕事をしている中、突然姿を消したらしい。村の人にも手伝ってもらい探したが見つかることはなかった。
長男フェリアスが勇猛で博識があったので父を支えて暮らしは暗くなることはなかった。心の在り方が問題になった。
フェリアスとアステカは8歳になると魔法剣術学校に行くことになる。
フェリアスはそこを成績優秀で収めて、魔法商工学校に通いたいと思い都市へと向かう。

アステカは兄の姿をみて憧れる。
アステカは学校では悪い成績ではないものの、魔法に得意不得意を付けてしまう。
土の魔法、緑の魔法に特化する。
ほかの魔法へと応用性が利かなくなり、学校に進学しても無駄だと先生にも判断されるようになる。
アステカは父の元で手伝いをして生活をするが都市に行きたい。

そのときに、森の魔女出身のマイカテールと出会い。彼女から「自分の意志で薬草学を学びに都市にでる」という話を聞いた。
アステカもそれならと、都市に行くための口実を探し始めると「母」というキーワードが見つかる。丁度よいと思い、都市へと行く理由として「母を探しに地を離れる」という肩書きで地を後にする。

マイカテールと一緒に都市へと向かう、都市につくまでに色々な魔法を発案した。具体化したのは土と緑の魔法の応用「ガラス魔法」であった。
都市に着くとマイカテールは薬草を売っているお店で働き、学校で薬草学を学ぶように環境を整えた。
お店では働けるようになったが、寝泊まりは宿でするようになる。

アステカは兄の痕跡をまずはたどった。
ついに話を聞くうちに、フェリアスは闘技場で戦った経験があった。
勇戦士フェリアスは大怪ガリオを負傷こそしたものの倒すことができたと言われていた。
「ならば僕も」
とアステカも出場することになる。
アステカは一回戦目では、戦士と戦うことになる。魔法剣士であるアステカは魔法によって牽制し勝つことができた。
二回戦目は前よりも俊敏な戦士属の者と当たる。彼は俊敏な動きで翻弄し迫り来る。苦戦を強いられる戦いになった。
「ガラスの魔法」で相手は降参した。
三回戦目は魔法使いであった。
負けてしまった。
彼は都市の魔法レベルを見せつけられた。
「僕の魔法はそんなにすごくないのかもしれない」
魔法には自信があったが、都市の差に愕然としてため息をつく。
このままではだめだな。

そんななかで上手くいっているマイカテールに嫉妬しつつ日々を悶々と過ごす。
アステカは一人悩んで、都市の近くの森に行った。
とぼとぼと歩いていると川を見つけた。
老人まではいかないが年を経ている、
魔法帽を付けた男が手掴みでとった魚を腰につけた籠に入れている。
魚はどことなく銀色をおびている。
「あの、もし」
「うん?たれかな」
「わたしはアステカというものです。」
「ふむ、なにようじゃ」
「いえ、とくには。見ていてもよろしいですか」
「ふむ。」

男は頷くと川に視線を戻して魚をまた掴み始めた。

男が魚を籠に入れる様子をずっと見続けた。
「おい、アステカというやつ。」
「はい。なんでしょう」
「お前からは濁った土の臭いがする。そこの川に手を着けて見ろ」
アステカは疑問に思ったものの川に手を付けてみた。
手から黄色い土が出てきて水を濁して流れていく。
「ほんとうですね。」
「もし、濁りを取りたいのならこの川に沿った南に行けばよい。」
「南ですか。」
南に行くとあるのは川の源泉地のある山である。
「ああ、そこで雨が降る。それを浴びろ」
「はあ。」
アステカは自信をなくし疲れきっていたので、どうにでもなれと指示に従って南を目指した。
川、川、川、、、源泉には行かないものの山で雨に当たることができた。
黄色の土が流れていく。
何かが綺麗に消えていくようだ。

、、、ズシャッ

嫌な音がした。と、途端に身体は軽くなった。足元はぬかるみ体重は下に引っ張られていく。地面が川に向かって落ちてる。

バシャン!!!

アステカは川に流された。
いくつもの木や石にぶつかり鈍い音とともに骨が砕ける感じがした。

ブチっ

頭に冷たさと硬さがあった。意識が切れた。

男の顔があった。
魚を籠に入れていた男だ。
「目覚めたか。」
「はい。」
アステカは意識が朦朧としていて今にも死にそうであった。
男は籠の魚を一つ取り出すとかじりついた。

プッ

と唾を吐いた。銀色で発光していた。
唾を受けた場は肉が裂けたり露出していたが、みるみるうちに健康な肌の姿に戻っていった。

「うう…」

するとまたもう一匹の魚を取り出しアステカの前に持ってくる。

「なぜそのようなことをしてくれるのですか。」
「世の理だからだ。借りを作れば、さらなる利益になる。だから助けるのだ」
「分からない、あなたは僕の思い描いている幸福を奪うということですか。」
「違う、おまえの幸福と俺の幸福は違うのだ。」
「はあ、」
アステカは疑問に刈られたが魚を食べることにした。

ムシャムシャ

魚を食べる内に気づいていく。
旅の始まりが間違っていたと、

ムシャムシャ

どうしたら良いのか。
始まり…源泉。
過去を流す…雨。
新しい生き方…今のこの状況。

新しい生き方をしないと行けない。
それも今までの過ちを流して改心して次に産まなくては……!

アステカは気付くと森を抜けていた。
男は幻だったのか。分からない。
だが、頬を触ってみるとピリッと痛みがした。

生きたい

そう強く思った。痛みは収まり、全身に魔法の力がみなぎった。
強く自分の怪我を直すように意識した。
みるみると痛みがあったのだろう。ところが治っていく。

「まずはここの魔法学校に通うことにしよう。」
森が背に都市は前にある。
はじまりだと悟った。

全ての魔法を学び、魔法を磨き上げる。
生き様を探してやる。

アステカの日常は至って普通だった。
学校に通い、住み込みで宿で働く。
魔法を使った労役に参加することもあった。都市に来るクリーチャーを遠隔から駆逐するのだ。

今は「炎、水、静電気」と新しい魔法を使えれる。
進度としては同年代の学生とは遅く、差に愕然とすることはあった。
それでも逃げたり落ちることはなかった。
環境の違いもあったが、はじめにした誤った進み方をする方が何倍も惨めだと悟ったのだ。
「これでも進めている。学ぼう。」

アステカは学校では低い成績であったが、実力を着々と延ばしていき魔法の全科目を「優秀」で終了する事ができた。
珍しいことではない。
だが、一つ目を引くことがあった。
「アステカの魔法は生きている」
と言われることだった。

生きる魔法か……

卒業の証を頂き台を降りていく。
拍手のなかで、自分のあり方を思い返していた。
森に行って川を座ってみた。

「あれから経ったな。」

男はいなかった。

一匹の稚魚が川を下っていった。


これから先はどうしようか。
再び魔法を学ぶのか。
この力を生かして働くのか。
兄のフェリアスにも会わずじまいだ。
あれからは話を聞くこともなくなった。
マイカテールは薬草学を積めて、日々を暮らしていた。良く来るお客が恋人になり、上手く進んでいるようだ。

川に写る自分の顔をみた。
川が濁っているように見えた。
「ここを離れよう」

その前に源泉を見に行こう。水が濁る理由はそこにあるに違いない。

源泉にはすぐにたどり着いた。
前みたいに行けないことはなかった。
すぐにたどり着くと、源泉の近くに濁り溜まりがあった。
それが湧き出てくる綺麗な水を汚していたようだ。

魔法を唱える。

ザバッ

汚れの元となるモノ…人の骸骨が出てきた。籠を巻いている。
汚れは籠から出ているようだ。
いつかの男を連想した。
あのあと、源泉に足を滑らして死んだのか。そもそも会ったときには死んでいたのか。分からない。

雨が降ってきた。
陸に上がった骸骨は雨を浴びる。
汚れはみるみると消えていった。
籠からの濁りは消えそうにはない。
骸骨だけは地に埋葬してやった。

「籠はどうしようか。」
まだ濁りが溢れている。
このままでは地を腐らせる勢いだ。
「炎」を説いた。
浄化して消そうという試みだ。
籠は瞬く間に燃えて塵と化した。


生も流れることなくたまると濁ると聞く。
生は生として地に返さなくてはならない。
循環しなくてはならない。そう習った。

源泉は綺麗になり、下流へと流れていくようだ。


借りは返した。旅に出よう。
川に沿って下流に向かった。
また都市があるだろう。
ここよりも大きな都市があると聞く。
緑の魔法使いらしく、丸太に乗って川を下っていく。
1週間と経つはずだったが、斬新な発想で2日早くつくことになった。


ゲムヴォルトの都

そこには多くの商人がいた。
商人にもまれて、本を買って独自で魔法を学びながら経済についても知っていく。
ここでは知識が金に直結した。
知識がなければ金を多く払わなくてはならない。というルールがあった。
アステカは経済の知識や物の値段やサービスについても知識を得ていった。
宿によって止まる料金も違う。
自分の安心していられる仲間を見つけるのも一苦労だった。
全てが前の都市とは違い、金持ちから中所得層、低賃金労働者がいた。

幸いに彼は学があったので、中所得層として講師として働くことができた。
講師と言っても、正式ではなく補助ではあったが賃金はもらえたので正式になるために教えるための学問を心得て資格をとった。

その町では多くの時間を費やして、娯楽も学んで充実した日々を過ごしていた。


森にある川の話も忘れていた頃。
今年は大量の魚が取れたという話を聞いた。
ふむふむ、アステカは市場に行き魚を買いにいった。
「今日は大量だよ。いままで全然取れなかったんだが、こいつはアチギョっていう最高に上手い魚なんだよ。こりゃ祭りだわ」
と市は賑わっている。
格安の値段でアチギョは売られていた。
アステカはそれを買うと家に帰ろうとした。
「おい、アステカじゃないか。」

兄のフェリアスだった。
彼は海を渡ったゲチ国からゲムヴォルトに来たところで、市が異様に盛り上がっていたので来たという話だった。

「まさか、アステカがこの町に住んでいるとはね。父は元気なのかい?」
「いや、父とはだいぶ会っていないんだ。」
と再会の話をした。兄は農村の魔法学校で3年の時以来会っていない。
それからの話をした。

「ふむ!商談があるのだが、アステカも動向するかい?」
とフェリアスは言った。弟として商談を見せて学ぶのも良いだろうと思ったのだ。
アチギョの加工食物を取り扱おうとしている。
ゲチ国に戻って多くを売ろうという魂胆だ。彼曰くはそんなに儲かる話ではないというが、利益は確かなので取引をする。

アステカはそのときに、アチギョの加工食物に魔法をかけて美味しくする方法を考えた。薬草学を知っていたので薬味を加えて調整しようしたのだ。
その試みは上手くいき、フェリアスはその商売で一儲けできた。
アステカはその方法を兄に教えると学問に戻っていった。
中間をになう卸売り商売はなかなかにリスクが付き物だと分かり、私には向いていないと思ったのだ。

アステカは香辛料の研究をし、食材に合う魔法の調味料を作った。
そしてそれを売って副業として成功していた。

アステカは正式な講師となり、同じく薬学の研究をしている女性の補講師と縁が結ばれて結婚に至った。

2人は家庭を築き幸せに暮らしましたとさ。